『怒らない 幸せな人生のために』
葉 祥明/著
日本標準/刊
本体1,300円(税別)
怒りの制御が平和に繋がっている
あなたは、これまでの人生で怒ったことがありますか。そう聞かれてNoと答える人は、ほとんどいないだろう。喜怒哀楽というように、人間には怒りという感情がある。それが良いとか悪いとかいう以前に、生きている限り怒りがこみ上げるようなことがあっても、それは当たり前で仕方のないことだ、と私は思っていた。しかしこの本の著者、葉祥明氏は「怒らない生き方とは幸せな人生のことだ」と、タイトル通り「怒らない」ことの大切さを説いている。
本書は、「怒り」とは何か、なぜ怒ることがよくないのか、どうすれば怒らずに生きていけるのか、ということについて書かれたメッセージ集である。一つひとつのメッセージが分かりやすい言葉で簡潔に書かれているので、とても読みやすく心に直接響いてくる。文字数があまり多くないので、本を読むのが苦手な人でも、話しかけられた言葉を聴いているかのようにすらすらと読み進められるのではないだろうか。
この本を手に取ったら、ぜひ自分自身のことも振り返ってみて欲しい。普段、私たちは自分の怒りについて冷静に考えてみたり、怒りと向き合ったりすることはあまりない。だからこそ普段は見えてこない様々な気づきがあるに違いない。
一人の人間の「怒り」と聞くとそんなにおおごとには思えないかもしれないが、著者は「怒り」が暴力や戦争という形で時に破壊的に働く、と記している。一人ひとりが「怒り」の本質を知り制御できるようになるということは、平和に繋がっていくとも言えるのだ。あなた自身の心の平和はもちろんのこと、世界的な平和についても考える、第一歩となることを願っている。
(評・沖縄県立那覇国際高等学校司書 宮里 優貴乃)
(月刊MORGENarchive2015)